狗牙絶ちの劔1(舞阪洸/富士見ファンタジア文庫)

 人間を喰らう「狗牙(くが)」という狼人間。その「狗牙」を退治する少女・香月と「平凡な」少年・駿が、退魔の劔を通じてボーイ・ミーツ・ガールする物語。
 設定こそ定番ですが、香月のツンとデレの描き分けが破壊的なくらい魅力的。冒頭、男言葉で駿を「君」呼ばわりしていたのに、次の瞬間子供っぽく泣き出してしまうというギャップにやられてしまいました。
 また、日常を離れ香月らと共に過酷な道を行くことを駿が決意するところでは、彼の覚悟の様子が適度な分量で描かれており、修行生活へと続くその後の展開にスッと入っていけます。「さすがベテラン」と感心するべきところでしょうか。「おおかみさん」シリーズや「疾走する思春期のパラベラム」等で実績のあるうなじさん描く女の子も相変わらず素敵です。
 1月に出た「生徒会」シリーズ、3月の「SH@PPLE」、4月の坂照さんの「L」など、今年に入ってからの富士見の新作は面白いものが多いなと感じます。