オトナリサンライク 竹岡葉月/ファミ通文庫

ISBN:9784757743649
 外国人の血を引くため、コミュニティや少年窃盗団からも弾かれてしまった孤児キーチ。その彼が妖精と人間の仲の取り持ちを生業とする一見奇矯な外見の女の子集団に受け入れられ、人との絆を取り戻す物語。短編4つから構成される。
 同じ作者のSH@PPLE*1でも時折見えていた「真っ当さ」がメインテーマになっている。弱者に対する不正や裏切りに際してその「真っ当さ」は発揮されるのだが、グダグダした説明ではなくキーチ達の一瞬の言動で示される小気味よさが良い。またそれが、キャラクター達の内面を読者に垣間見させ印象づけることに成功している。シリアスなテーマをあくまでライトに伝えることができるスキルの高さは他になかなか無いのではないか。さんざん弾けまくった後に不意打ちのように訪れる大事な一言という平坂読の“芸”(あれはそうとしか表現ができない)位が比肩出来るのでは、と一瞬思った。
 「了」となっていることや「あとがき」等からこの一巻でどうやら終わる公算が高いように思われる。だがボディコンシャスな男装貴族っ娘や適当お気楽事務員、何より年齢不詳のチミっ娘所長について語り残したことは余りに多いと思う。是非続刊を。