実効為替レート(名目・実質)とそれぞれの関係

 http://d.hatena.ne.jp/econ2009/20081024/1224858048  econ2009さんのエントリーの追記に基づき確認してみる。
 http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/exrate.htm  以下は左の日銀HPからほぼ丸写し
 日本円と米ドルをそれぞれ自国通貨として使う二国しかないと仮定
(名目為替レートとは)
  基準時点での外貨建て名目実効為替レート:1円=0.01ドル(100円=1ドル) 
  → この時点の表示を「100」とする
  邦貨建て名目実効為替レートが「1ドル=90円」に変化。「1円≒0.011ドル」となり。この時点の外貨建て名目実効為替レートは「110」へと上昇する。これを円高と称す。
(実質実効為替レートとは)
  物価調整後の実効為替レートを「実質実効為替レート」と言う。
  その他の条件は上記例と変わらないとして基準時点の日本の企業物価指数(CGPI)、米国の生産者価格指数(PPI)はそれぞれ「100」だったと仮定する。
  これを基準時点での外貨建て名目実効為替レートは「1円=0.01ドル」すなわち「1ドル/100円」によって算出されている。これをそれぞれの国の物価指数で調整すると「(1ドル/米国のPPI)/(100円/日本のCGPI)」となる。よって
 外貨建て実質実効為替レート=外貨建て名目実効為替レート×(日本のCGPI/米国のPPI) …(1)
となり、基準時点でのその表示は「100」となる。
  ここで他の条件はそのままで日本CGPIのみが「110」に上昇したと仮定する。数式(1)から「0.01×110/100」となり、実質実効為替レートは「110」へと上昇する。すなわち、日本のCGPIの上昇率>米国のPPIの上昇率であれば、外貨建て名目為替レートが円高に振れたのと同じ効果が得られる。
(名目実効為替レートの変化率と実質実効為替レートの変化率の関係)  
 式(1)から
  名目実効為替レート=実質実効為替レート×(米国のPPI/日本のCGPI)
 が得られ、それを微分すると
  名目実効為替レートの変化=実質実効為替レートの変化+(米国のPPI/日本のCGPI)の変化
が得られ、ここから名目実効為替レートの変化に対する寄与を、「実質実効為替レートの変化」によるものと「(貿易相手国の物価水準/日本の物価水準)の変化」(すなわち相対物価の変化)によるものに要因分解することが可能になる。
(ひとこと)econ2009さんもおっしゃるように、名目および実質実効レートの定義そのものから導かれる事柄。クルーグマン教授が「経済入門」で国際収支の恒等式に基づいて珍説をぶった斬ったことにも一脈通じるかも。頭が混乱するときは「定義」に今一度戻ってみる当たり前なことを確認した次第。それにしても、日銀のHPはざっと見ただけでも判り易くかつ勉強し甲斐がある内容ですね。日頃は文句ばっか言ってますが。