経済

景気ってなんだろう 岩田規久男/ちくまプリマー新書

一般向け経済書の書き手としても定評がある一流の経済学者が書き下ろした景気変動とその安定化政策について基礎を学べる本。書店棚に時流にあわせて満ち溢れている「危機」本(帯に著者の顔写真が堂々とプリントされている類)のほとんどは信用が置けないの…

緊急改訂 知られていない原油価格高騰の謎 芥田知至/技術評論社

適度な分量で、経済学的視点と原油市場の分析から、原油価格が決定されるメカニズムと最近の高騰の理由を解説する好著。需給メカニズムで価格が決まるプロセスや先物取引の基礎を懇切丁寧に説いているところに、市場取引について全く知識を持たない読者にも…

産業政策論の誤解 三輪芳朗、J・マーク・ラムザイヤー/東洋経済新報社

「日本の産業政策が有効に機能し、高度経済成長に積極的に寄与した」とする「通念」を検証し、それを全否定する。 「通念」の検証にあたって二人の著者は、まず先の「通念」が検証され根拠が示されることなく「自明の理」視されてきたことを明らかにする。そ…

実効為替レート(名目・実質)とそれぞれの関係

http://d.hatena.ne.jp/econ2009/20081024/1224858048 econ2009さんのエントリーの追記に基づき確認してみる。 http://www.boj.or.jp/type/exp/stat/exrate.htm 以下は左の日銀HPからほぼ丸写し 日本円と米ドルをそれぞれ自国通貨として使う二国しかないと仮…

日本経済再生の処方箋 月刊現代11月号/講談社

「日刊現代」今日発売(Economics Lovers) 日本経済再生の処方箋(月刊現代11月号)(Econviews-hatena ver.∞) 発売日に購入、読了。身近な物価から対外関係までの主要論点を短時間で概観できるのがありがたい。一面的かつ皮相的に経済問題を捉えがちなマス…

なぜ、アメリカは崩壊に向かうのか  チャールズ・R・モリス/日本経済新聞出版社

サブプライム問題に端を発した米国の金融危機を信用バブルと断定、その原因についてここ四半世紀間米国主導してきた市場を万能視する保守主義的思潮に求めるものです。 長年、金融界に身を置いていた著者らしく、あらゆる金融商品を証券化しそれに高い格付け…

最底辺の10億人 ポール・コリアー/日経BP社

本書の意義 これまで一様に「貧しい」と形容されてきた途上国は、「急激にあるいはそこそこに成長する」40億人のいる国々と大部分がサハラ以南のアフリカに集中する「停滞または経済が縮小してゆく」10億人のいる国々の2つに分裂した。本書は後者にスポット…

グローバリゼーションを擁護する ジャグディシュ・バグワティ/日本経済新聞社

本書の意義 国境を超えた人・物・金・情報etc.の行き来が拡大していくことは、人々の生活を豊かにするのか? 戦後同程度のレベルから出発し開放経済の優等生となった韓国と閉鎖経済体制を取り続ける北朝鮮それぞれの現在の国情を比較するなら、直感的に肯定…

ベッカー教授の経済学ではこう考える ゲーリー・S・ベッカー、ギティ・N・ベッカー/東洋経済新報社

ISBN:9784492312506 今さらながらの読了。’80-‘90年代に書かれた新聞コラムが収められているので、日米構造協議が取り上げられている点などに隔世の感がする。しかし、時代・場所を問わず普遍的に妥当するのが学問的成果の学問的成果たる所以。今日において…

チーズの値段から未来が見える 上野泰也/祥伝社

ISBN:9784396613044 著者は、証券会社のチーフエコノミスト。景気動向から債券・為替市場等の動向を予測し、顧客に情報提供するのを生業としている。民間金融機関系シンクタンクや官庁のエコノミストと比較すると、証券取引所等「経済の現場」により近い所に…

アダム・スミス―「道徳感情論」と「国富論」の世界 (堂目卓生/中公新書)

既に赤間道夫氏の判り易い書評があるので、本全体の紹介などは割愛して感想だけを。 興味を引かれたのは、スミスが自らの原理を応用する場として取り上げており、当時喫緊の時事問題でもあった「アメリカ独立問題」について述べていたところ。スミスは、英本…